外国語大好きおじさんと語学の神様から学ぶ「最強の語学独学法」について
皆さんは「外国語大好きおじさん」をご存知でしょうか?
別に芸能人の名であるわけでもないので当然、知らないと思います。
「外国語大好きおじさん」
それは、語学学習をこよなく愛するとあるブロガーさんのペンネームです。
先日、偶然このブログを発見したのですが語学学習に対する熱量に圧倒されて、思わずこのような記事を書くことになりました。
とにかくこの方、すごいです。
>>シンガポールより! 外国語大好きおじさんのブログ – Yahoo!ブログ
何が凄いかって、このおじさん
英検1級を取得
してるだけではなく
フランス語検定も
中国語検定も
独学で1級取得
しちゃっているんです!
これはすごいと言わざるを得ない~!
ブログを拝見しつつ
「世の中にはすごい人がいるものだなあ」
と驚かされる一方、私もまた語学を頑張りたいという気持ちにさせていただきました。
ということで今回の記事で、語学の独学について考えたいと思います。
5年あれば1級取得が可能?
外国語大好きおじさんは私にとって、模範的な独学語学学習者でした。
ブログを見れば、彼がどれほど地道に語学学習に時間を割いているかわかります。
例えば「フランス語」
拝見するに「外国語大好きおじさん」はシンガポール在住ですので、自然と英語(ときに中国語)がうまくなる環境に身を置いていると判断できます。
しかし,フランス語は違います。
「外国語大好きおじさん」がフランス語を勉強し始めたのは30歳を超えてから。
ブログをたどると1級取得は、一からフランス語を勉強し始めてから約5年後ということがわかります。
これは、すごいことです。
留学経験なしで知識ゼロ、そこから独学5年で1級取得。
完全な独学ですが最近ゼロからフランス語を勉強し始めた自分にとって、とても励みになる数字に感じました。
気になる「外国語大好きおじさん」の独学勉強法
外国語大好きおじさんの学習法を見るに、気になった点がいくつかありました。
ただ継続するだけでなく、きっとなにか効果的な語学学習方法を身に着けているはずだと探ってみたんです。
まず気になったのは
- 絵本を活用していたこと
でした。
「外国語大好きおじさん」は、全然単語や文法を覚えていない段階から絵本を大量に買い込んでいます。
そして地道ひたすら読むという作業を、語学学習の初期段階で徹底して行っていました。
フランス語を実際に勉強してみて思うのが、独学だとなかなかモチベーションも上がらず、良い参考書を見つけるだけでも一苦労します。
それならばいっそ自分が読みたい本や絵本を一気に買い込み、辞書を引いて手当たり次第に読んでみる方がよいのかもしれません。
この学習法を見て、私はとある人物のことを思い出しました。
それは、かの有名なドイツ語学者
- 関口存男(せきぐちつぐお)さん
です。
留学せずに外国語を極める「語学の神様」関口存男
この方、ご存知ですか?
関口さんはブロガーではありません。wikipediaにも名前があるドイツ語学者です。
もし知らなかったら、ぜひ知ってもらいたいです。
戦前生まれのドイツ語学者として名をはせた方で、人々は尊敬の念を込めて彼を「語学の神様」と呼びました。
でも、実はこの人
ドイツ留学の経験は皆無
なんです。
では、”語学の神様”は一体、どのようにしてドイツ語をマスターしたのでしょうか?
こんな逸話があります。
当時、関口存男は14歳。
新しく学ぶ科目”ドイツ語”に興味津々。
誰よりも早くそれをマスターしてやろう、と意気込んでいたそうです。
このとき少年はとにかく何かドイツ語の本を買おうと、丸善の本棚を眺めていました。
そこで見つけたのがドストエフスキーの『罪と罰』のドイツ語訳(ドストエフスキーなので、元はロシア語ですね)
1000ページ以上の文庫だったのですが少年はその場で購入し、家に帰って早速読み始めました。
凄いですね。
14歳のころからドイツ語が読めたんでしょうか?
いえ、そんなわけがありません。
少年は
最初の1行から全く意味が分からなかった
んです。
当たり前
です。
そのころ彼は14歳。
語学レベルでいえば、初めて英語を習った中学一年生のようなものですよ。
(ABCを覚えてisやareとか、ほんの少しの単語を知っている程度です)
ドストエフスキーなんて無理に決まってるんです。
でも関口さんのすごい点は、ここからなんです。
最初の1行の意味も分からないのに、関口少年はめげずにそれから2年かけて繰り返し繰り返し読み続けたのだそうです。
数百ページにわたり、辞書を片手に必死でその作業を繰り返し、最終的には多くの文章をまるっと覚えてしまったんです。
つまり
長文暗記
です。
そして意味は分からなくても関口少年はその本が大好きになってしまい、ぼろぼろの本に自分で手作りの装丁を付けていたといいます。
なんだか、可愛いですね。
面白いのは、そのうち関口少年は
「なんかしらないけど少しずつ話の意味が分かるようになってきた」
という具合にコツをつかみ始める点です。
そして『罪と罰』を三分の二ほど読み終えたある日。
ふと言葉の一つ一つに意味があることに気づいたのだそうです。
そして一語一語を大切に読むようになったところ、スっとドイツ語が読めるようになり、一気に1000ページの大書を読んでしまったというんです!
(おおお、ほんとかよ!!!)
噓か真かと気になる話なのですが、個人的にこの話は非常に興味深いと思います。
全く読めない言語で書かれた本を、2年間かけて暗記する。
これができるという点が、やはりこの人の才そのものなのだと思います。
ちなみに関口存男さんの凄い処は、ドイツ語にあわせて英語、フランス語、ラテン語、ギリシャ語もマスターしていたところなんですよね。
フランス語に関してはわずか一年で習得し、アテネフランスの教壇に立ってしまいました。
そもそもドイツ語に関しても留学してません。
しかし、その実力も確かなもので、こんな逸話があります。
ヒトラー政権時代にナチを逃れて来日したカール・レーヴィットという哲学者が関口存男のドイツ語の文章を読みました。
そして、そのドイツ語があまりに日本人離れしていたため、ナチス党員の誰かが書いたものではないかと恐怖を感じたというのです。
(何だかカッコイイですね…!)
「外国語大好きおじさん」の話をしようとして、すっかり関口存男の話になってしまいましたた。
気になる方はこちらのブログで『関口存男著作集〈ドイツ語学篇〉』のpdfが読めますので、参考にしてください(2017.1確認)
>>「関口存男」 ~語学の神様と言われた男~ | Chem-Station (ケムステ)
最強の語学学習法とは何か?
ここまで長々と話してきましたが、結局何が一番言いたいのか。
それは外国語大好きおじさんも関口存男も、同じ方法で語学を独学しているということなんです。
その方法とは一体何か?
ずばり
長文の暗記
です。
先ほど関口少年がドストエフスキーを暗記したというエピソードを紹介しました。
そして外国語大好きおじさんもブログの中に、こう書いていらっしゃるのです。
※以下、引用させていただきます。
そもそも僕が外国語の勉強で長文暗記を始めたのは、実は大人になってからで、大学4年の終わりで社会人になる間際の頃でした。
その頃は英語の勉強に夢中だったのですが、まず『TIME』などの雑誌からかっこいい英語の広告コピーを切り抜いて丸暗記したのが始まりです。
なかでも素晴らしいと思ったのはメルセデス・ベンツやパテック・フィリップの広告の英語でした。
それから新聞や雑誌の記事を暗記するようになったのですが、特に気に入ったのはイギリスの『The Economist』の英文で、ちょっとシニカルで気取った感じの文体をどんどん暗記しました。
僕が英語を書く時は、気が付くと単純過去よりも現在完了を使っていることが多いのですが、この時に暗記したイギリス英語の影響のせいだと思います。
そしてシンガポールに来てからは、アメリカのベストセラー作家Danielle Steelの小説の暗記に挑戦しました。
その頃の僕の持論で「300ページ英語を暗記すれば、アメリカに3年留学したのと同じ効果がある」と考えていたので、小説『Journey』を丸300ページに到達するまで暗記しました。
外国語大好きおじさんも、長文の暗記を重視していることがお分かりいただけるでしょうか?
そして何より
- 300ページ英語を暗記すれば、アメリカに3年留学したのと同じ効果がある
とまで書かれているんです。
これはやるしかない
と感じる文言ですよね。
まとめ*一番大切なことは、語学を〇〇する気持ち
ということで、この記事では「外国語大好きおじさん」と関口存男さんの語学に対する姿勢について、言及してきました。
まとめると
- 留学せうに1級取得レベルの語学力は獲得可能
- 長文暗記が非常に効果的
といった内容でしょうか?
そして何より一番大切なこと。
それは「外国語大好きおじさん」のネーミングそのままに、
語学を愛する気持ち
なのかもしれません。
正直、私にとって英語学習は少し義務的なものです。
文系科目の中では一番苦手な科目でしたし、今でも心から好きとはいえません。
どうしても勉強していると気が重くなります。
でもフランス語に関しては、ちょっと違います。
フランス語で読んでみたい本がたくさんありますし、純粋に好奇心から楽しみたいと考えています。
突然ですが、わたしのすきな名言にこんなものがあります。
途中であきらめちゃいけない。 途中であきらめてしまったら、 得るものより失うもののほうが、ずっと多くなってしまう。
ジャズミュージシャンのルイ・アームストロングの言葉なのですが、これは語学学習の核心をついているように私には感じられます。
知り合いには、語学に秀でているとともに楽器の演奏もかなりの腕前という人が沢山います。
やはり耳がいいことが語学学習に関係があるのかとも考えたのですが、それ以上に毎日コツコツ継続的に練習(学習)を積み重ねなければ、上達しないという前提を、子供のころからきちんと体で覚えてきた人たちだからなのかもしれません。
とにかく「継続」するということが、語学学習においては非常に重要。
どなたかの言葉に
- 語学学習は「続けること」ではなく「やめないこと」が大切
というものがありました。
私はむしろ、こちらの言葉を励みにしています。
毎日続けられなくても、完全にやめて諦めなければよいと思っています。
何故なら、継続が何よりも苦手な飽き性だからです。
ちなみに現在二週間ほど、以下の文法書でフランス語を学ぶことに成功しています。
とりあえず8月は、上記の本を一冊やりこみます。
文法事項の把握と基本単語の暗記が目標です。
赤シートで語句を隠せる緑のペンを使用し、とにかく例文暗記に努めています。
動詞の活用で挫折しないことを祈るばかりです。
たった2週間。
けれども毎日続いているというのは、私にとってはすごいことなんです。
独学でどこまでできるかわかりませんが、とりあえず仏検をコツコツ受けていきたいです。
この記事にたどり着いた方も語学を頑張って勉強されている方が多いと思います。
お互い頑張っていきたいものですね。
それでは最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
後日談|独学で外国語を習得しはじめて…
この後、無事に仏検4級に合格することができました。
フランス語に興味があるけれど、一歩踏み出せないという方は参考にしてください。
>>独学のススメ*フランス語をゼロから学んで1か月で仏検4級に合格した勉強法
また多言語学習者のブログとして、下のブログも刺激にさせてもらっています。
この方のブログを見ると英語とフランス語だけで満足せず、色々な国の言葉を知っている大人として歳を重ねていきたいな、と思います。
宜しければ、参考にしてくださいね。
それでは最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました!
コメント
コメント一覧 (3件)
ただの文の暗記は効率が悪いとしか思えないですね。例文集等は文法的エッセンスの詰まった文を暗記するように出来ているので。
外国語大好きおじさんも、関口存男さんも、全く存じ上げなかったのですが
お二人とも、情熱が凄まじく、ワクワクしながら、記事を読ませていただきました。
物事をやりぬく方の意気込みや、強さに触れると、よし!頑張ろうと思わされますね。
私は、国弘正雄さんの本を読んで、中学のリーダーを500回、1000回と読んだこと
また、駐留していた英米の兵士に話しかけてみたりと、学習の初期から、熱意の塊である内容から
これだ!と思い、すごく良い影響をうけたことを思い出します。
やはり、継続することは、結果にもつながりますし、更に内面を向上させていくことが
人生全般を豊かにしたり、深めていくなと常日頃感じています。
ぱじゃねこ様は、この記事2019年のものですから
今は、更に進まれていると思いますが、気持ちを感じられるブログ記事楽しく拝見させていただきました。
コメント有難うございます!
>物事をやりぬく方の意気込みや、強さに触れると、よし!頑張ろうと思わされますね。
すごくよくわかります。
私はどこか飽き性なところがあるので、極めてやり抜いている方の強さってすごいなと単純に思います。
外国語学習者の本ではないのですが、私は佐藤優さんの『獄中記』を読んだときに獄中での時間を活かして、新しい外国語を学んでいた姿が印象的でした。
何かを続けていくことができたら、年を重ねるのも楽しくなりますし、それを自分への信頼につなげていけたら良い人生になりそうですよね。
実はこの記事すごく古くって、おそらく一番最初に書いたブログ記事なんです。
2016年くらいのものかもしれません。ブログの引っ越しをしたときに日付が変わってしまったのかな、と記憶しています。
実はなかなか継続ができず…という感じなのですが、この記事を書いた頃よりは確実に英語力が向上しているので、それこそ気長に十年二十年先まで続けていけたらいいなと思っています。
こちらこそ、丁寧なコメント有難うございました!