世界遺産検定1級の難易度は?受験前に絶対に知っておきたい2級との違いを徹底分析
今回の記事では、世界遺産検定1級を受験した感想として、難易度を2級と比較しながら分析します。
一級は私自身、勉強をしながら
これ絶対落ちるわ
と冷や冷やするほど世界遺産検定2級と比べて、難易度に圧倒的な差があると感じました。
無事に合格はできましたが、知識量ではなく、途中で「2級と同じ勉強法では受からない」と気づき、勉強方針を変えたことが功を奏したように感じました。
ということで
- 世界遺産検定1級の難易度は具体的にどれくらい?
- 2級と何が違うの?
- 勉強時間はどれくらい必要?
という質問に応えられるような記事にしたいです。
ネットの情報も世界遺産検定1級は、2級に比べて体験記事や対策方法公開が少なく、現段階では受験者が事前情報を得難い検定です。
試験の感想を難しかったと述べることに意味があるとは思いません。
が、その理由を具体的に分析することで、勉強の方針をたてるヒントになると私は思っています。
実際、1級は受験者も少なく需要があるかはわかりません。
でも、せっかくですので
- これから世界遺産検定1級を受ける人
- 1級に落ちてしまい、リベンジ受験をする人
- まだ2級も受けていないが、将来的に1級を取得するつもりの人
の参考になる記事が書ければ幸いです。
2級受験に関しては「世界遺産検定2級に1発合格する短期間勉強方法」という記事を参考にして下さいね。
数字でみる1級と2級の難易度差(合格率)は?
世界遺産検定1級に向けて勉強する前に知っておきたいのは
- 1級と2級の難易度差は、かなり大きい
という事実です。
個人的には、英検や漢検の準1級と2級の間にある見えない壁くらいのものを感じました。
その理由を具体的に検証していきましょう。
世界遺産検定1級2級の具体的な合格率推移
まずは、過去問で世界遺産検定の1級と2級の合格率推移を比較してみます。
すると
- 2014年7月1級(32.8%)2級(47.2%)
- 2014年12月1級(24.2%)2級(43.2%)
- 2015年7月1級(38.1%)2級(44.3%)
- 2015年12月1級(21.9%)2級(46.7%)
- 2016年7月1級(20.6%)2級(41.4%)
- 2016年12月1級(21.1%)2級(50%)
となっています。
ちなみに2018年夏の結果を調べてみると
- 2018年7月1級(20.3%)
- 同回2級(61.4%)
となっていました。
各回ごとに差があるので、ざっくりした考えにはなりますが
- 2級は2人に1人が受かる試験
- 1級は4人に1人が受かる試験
となるでしょう。
が、もっと詳しい分析を以下行いたいと思います。
1級は受験資格が必要な検定
ここでポイントになるのが
- 2級は誰でも受けれる
- 1級は2級を持っていないと受験資格がない
という点です。
つまり1級の4人に1人というのは、2級合格者の4人に1人です。
ここで2017年7月2級の得点分析図を見てみましょう。
するとおおよそですが合格者の分布は
- 60点台:約500人
- 70点台:約370人
- 80点台:約230人
- 90点台:約50人
とざっくりで読み取れるかと思います。
受験者数は2876人で、認定率は41.6%(1189人)です。
合格者の上位4分の1にあたるのは上位約300人。
仮に2級を合格した全員がその後、1級を受験したと仮定すれば
- 80点以上で2級を合格した上位4分の1
に入っていないと1級でも上位4分の1という合格圏内に入るのが難しいと判断できるかもしれません。
なので1級が欲しいと思っている人は、2級受験する時から既に
- 2級合格ではなく80点以上を目指す
と目標にすることが近道になるといえます。
※実際、私も2級の合格点は8割を越えていました。
そもそも1級は、2級に合格した全員が受けるとは限らない
- 2級で80点以上合格を目指して勉強するのが近道
とは言うものの
ここで、1級と2級の受験者数推移を確認してみましょう。
私の手元の受験結果にある2018年のものですと
- 2018年3月2級合格者数1502人
- 2018年7月1級受験者数843人
になります。
つまり、1級受験者が全員、2級合格後に最短で1級を初受験したと仮定しても、1級の受験者数は2級合格者の2分の1に減ります。
なので、先ほどの2級合格者の上位4分の1という仮定は非常に甘く、かつ正確ではない。
実際は2級合格者のやる気がある人だけが1級を受験しており、その中の上位4分の1に入る必要があるわけです。
1級は再受験者も多い試験
さらに言うならば、1級は合格率がそれほど高くありません。
つまり全員が初受験ということはありえません。
確実に力を付けている再受験者が合格を狙っていることも想定すると、2級の結果が良かったからといって、1級に必ず受かるとも限りません。
つまり
- 2級で高得点をとっても1級に受かるとは限らない
- 単純に20%という合格率だけで難易度は測れない
となります。
でもこういう分析って
ぶっちゃけあんまり意味ない
と個人的には思います
(ならするなよという話ですが)
結局は勉強しなくちゃ受からないということには変わりませんからね。
それより大事なのは
- 何故、合格率が著しく下がるのか?
- 難易度がどのような要因で上がっているのか?
- 具体的に2級と1級では試験内容がどう違うのか?
という試験内容の中身の分析だと思うのです。
これをきちんと行うことで
- 勉強の方針が立てやすくなり、合格への近道になる
というのが持論です。
では数字による分析はここまでに、次に具体的な2級と1級の試験内容の違いについて見ていきましょう。
1級と2級の違いは試験範囲(テキストの分厚さ)の違いだけ?
1級受験を志す方からすれば
「2級より難しいのは当たり前だろ」
と感じるのが当然かもしれません。
というのも、1級と2級ではテキストの分厚さが全然違うからです。
※世界遺産検定1級の公式テキストは2020年3月発売のものが最新になります。お間違えないようご注意下さい。
下が私が購入していた公式テキストの写真です。
青色帯が2級、赤と緑上下巻合わせて1級になります。
分かりやすいかと思い、高校の世界史Bの教科書も本棚から拾ってきました。
ちなみにテキストのページ数は
- 2級が約250頁
- 1級は(上下あわせて)約870頁
公式テキストの分厚さを見るだけで1級と2級との差は歴然なわけです。
難易度の違いなんて言われなくてもわかるっつーの
という状態でもあります。
当然、1級を目指す人は
- 1級と2級の受験範囲が圧倒的に異なることを理解したうえで申し込みをする
と思います。
ところがです
私もそうだったのですが、この公式テキストの厚みに気を取られて、1級は2級から世界遺産範囲が増えただけと思ってしまうのが落とし穴なのではないかというのが持論なのです。
つまり
- 1級と2級の違い
- =遺産の範囲が増えただけ
ではない
ということを伝えたいのです。
どういうことでしょうか?
以下、詳しく説明していきましょう。
2級の合格戦術は通用しない
繰り返しますが1級と2級は前提として、試験範囲がそもそも大きく異なります。
具体的に世界遺産検定の各級の試験範囲を確認すると
- マイスター:すべての世界遺産(論述)
- 1級:すべての世界遺産
- 2級:主要な遺産300件
- 3級:主要な遺産100件
- 4級:主要な遺産30件
です。
例えば、2018年の世界遺産総数は1092件:167か国対象、日本の世界遺産は22件。
つまり
- 1092-300
- =792件世界遺産が増える
ものすごく単純に考えると
- 2級の3倍の数(同じ要領で)世界遺産覚えれば受かる
という認識になりやすいです。
単純に2級と同じ勉強法で、その3倍試験範囲を学習すればよいと感じるでしょう。
(つまり難易度差は、範囲にしか要因がないと誤解してしまうということです)
そのうえ、もう一つ罠があります。
世界遺産検定の公式で発表されている出題範囲です。
以前、過去記事で「世界遺産検定2級に1発合格する短期間勉強方法」という2級勉強法の記事でも書きました。
2級受験にはコツがあります。
それは
- 試験範囲の45%に当たる最初の2章(基礎知識と日本の世界遺産)だけを重点的に勉強すればよい
- 世界の遺産は捨て問(過去問で出題されてるところを重点的に)
というものです。
テキストでいうなら、45%がここから出るという話。
実は、この事実を知っているだけで勉強がすごく楽な試験なんですよね。
同じように1級の配点比率も確認しようとなるわけです。
表を改めてみると、このようになっています。
ほほう(笑)となりませんか?
一見すると
- 1級の試験範囲も45%は基礎知識と日本の世界遺産(22件)
- しかも2級で既に学習している遺産
です。
つまり
- 2級と同じように最初の2章(基礎+日本)で満点近くを狙う
- 残り25%で新規の遺産や今まで学んだ世界遺産の復習+α
と考えれば、ぎりぎり70%で合格が可能。
2級と同じ要領で
案外いけそう
ってなりませんか?
私は単純馬鹿なので、そう思っていました。
そして
- 2級と同じように基礎知識と日本の世界遺産を重点的に勉強すればどうにかなる
- あとは好きな遺産を楽しく覚えればOK
と妙な自信を持ったまま、ほにゃほにゃとテキストを読んで、試験1週間前に過去問を初めて丸々初見で解きました。
その結果
92点でした
※合格点は140点です。
このままだと絶対落ちる
と確信した瞬間でした。
そこから勉強の仕方を変えました。
結果、合格したと考えると、やはりこういった知識の暗記試験は知識量に加えて
- 勉強の方針が非常に大切
だと思うところがあります。
そのためには、2級と同じやり方じゃダメだと切り替えることがものすごく大切なんですね。
では、具体的に何がどう2級と違ったのでしょうか?
1級の問題傾向は2級と違う!
2級との問題傾向の違いを一言で述べると、1級は
え?そこ聞く?
という問題が多いです。
簡単に言えば、予想が立てにくい(山をはりにくい)問題が非常に多いというのが雑感です。
特に日本の遺産がそうでした。
個人的には世界遺産検定者側の戦略として
- 2級で合格して喜ぶ
- 1級も受かるかもと受験する
- 同じ方法で勉強して、1級は落ちる
- 悔しくて再受験する
という
泥沼に受験者をはめる
のがそもそもの狙いなのではないかと思うレベルです。
(そして高額受験料を何度も払わせる)
いやいやそう思うと恐ろしい世界遺産検定
(そう思う私の心が汚いだけでしょうか?)
この点、実際の問題を例に詳しく試験内容を分析していきましょう。
1級の基礎知識+日本遺産の問題は難易度が高い
繰り返しますが2級の問題は
- 試験範囲の45%に当たる最初の2章(基礎知識と日本の世界遺産)だけを重点的に勉強すればどうにかなる
という、ある種効率の良い勉強ルートがはっきり存在します。
問題内容も
- 過去問と同じようなものが多い
- ある種パターン化されていて、すぐに答えがわかる
- 太文字と赤文字を覚えればどうにかなる
ものばかりです。
しかし1級の問題はそれを知ってか知らずか、不敵に微笑む出題者側の意図なのかはわかりませんが
- 過去問と同じ問題はほぼなし
- 基礎知識と日本の遺産に関しては明らかに難易度が高い
- テキストを読んで、理解をしていないと解けない
問題が多いと感じました。
具体的に述べると
- 赤文字黒文字の語句以外の部分が、がんがん出題される
- 出題の仕方も割と凝っている
- 過去問と同じ問題はほぼなし
ということです。
実際に受けた1級の問題(2018/7)から例を挙げてみましょう。
例えば
という問題。
公式テキスト内の該当箇所は
です。
同じく日本の遺産に関しては
という問題。
公式テキスト内の該当箇所は
です。
2級と1級の決定的な違いは
- 太字赤文字以外が答えになっている問題が多い
- 過去問と類似してる問題が少ない
という構成になっている点です。
出題者のスタンスが「基礎と日本の遺産を学んで、過去問解いてたら必ず受かるよ」という仏から
1級だよ?
そんな当たり前のこと聞くわけないじゃん
という鬼畜スタイルに変わっており
- 赤文字太文字は知ってる前提
- それ以外の部分を問うものが多い
個人的には
- 基礎知識よりも日本の遺産の方がその傾向が強い
と感じました。
また、世界の遺産に関しても
- 2級で問われたのと同じ問題はほぼない
- 2級で覚えたことを問う問題もほぼない
と思いました。
過去問から同じ問題はほぼ出ない
もう一つ重要なポイントは、1級の問題は
- 過去問と同じ問題はほぼ出ない
という点です。
2級は、過去問を何度か解けば必ず合格できる作りになっています(類似問題がそれほどに多い)
でも1級は
- 過去問と同じ問題が出るという期待ができない
という試験だと感じました。
※ただ、ほぼ毎回出される問題というのも数問あります。
これに関しては、また別記事で勉強法としてまとめる予定です。
しかしそのような問題は出題者側も当たり前のように自覚できる数問のボーナス問題です。
合格に直接つながるものではありませんでした。
過去問を沢山解けば受かるという発想はヤバイ
私は2級の延長線上に1級を想定していたので
- 過去問を仕上げに大量に解けばどうにかなる
と勝手に思い込んでいました。
なので過去問は事前に3年分、ばっちり買いそろえました。
しかし勉強が進むにつれて
- 1級は2級と違って過去問を解けば解くほど正答率が上がる試験じゃない
と気づき、最終的に解いた過去問は3回分で終わりまし
時間がなかったのも理由ではありますが
- 過去問を大量に解けば受かるという発想は捨てた方が良い
という結論は変わりません。
過去問は多くて2年分で十分だと思います(最新のものを買うだけでもどうにかなる)
私のように無駄買いをしないように気を付けてくださいね。
試験会場の雰囲気も1級と2級は異なる
ちなみに試験会場の雰囲気も1級と2級はかなり違っていました。
大阪の試験会場は前回と同じ、近畿大学の同教室だったのですが試験場に足を運んで驚いたのは
- 2級は若い子がワイワイしていた
- 1級は誰一人喋らない
- 皆、早く来て勉強してる
- 眼がマジ
ということです。
特に驚いたのは年齢層ですね。
2級は
- 大学生の試験に加わっているような雰囲気
- きゃぴきゃぴした明るい雰囲気
1級は
- 同じく20代と思われる若者は数人
年齢層は意外と高めでした。
受験料も高いことがあり、半端な気持ちで受ける人は少ないんだろうなという印象を受けました。
まとめ|世界遺産検定1級の難易度とは?
さて、これまでの流れをまとめると
- 1級は2級より範囲が増えただけ
- 過去問たくさん解けばどうにかなる
- 基礎知識と日本の遺産を重点的に勉強して、あとは好きなとこだけ
という2級の戦略では、私のように本番1週間前に140点どころか100点も取れず、完全に受験料(9700円)ドブに捨てた諦めモードになると思われます。
繰り返しますが
- 2級と同じ勉強法で受かる
- もしくは2級の範囲が増えただけの延長線上の試験
と1級を捉えてはいけないという警鐘をならすのが、今回の記事の目的です。
繰り返しまとめますが
- 2級のように過去問は多くない(ほぼない)
- 2級のように過去問をたくさん解けば、得点率上がる試験ではない
- 日本の遺産や基礎知識は問われることが細かい
- 太文字赤文字になっていない部分も聞かれる
というのが、範囲の拡大に加えた、2級との試験内容の大きな差異になるでしょう。
この差異を勉強前から知っておくというのは重要です。
何故なら試験内容の異なりに気づかないまま、2級と同じような勉強の延長で合格できるという勉強方針をたてると、私のようになるからです。
初めて丸々と過去問を解いて採点し92点だったとき、私は
あははは
と一人で笑いながら(怖い)とりあえず寝ようとしました。
でも、寝れなかったんです。
受験料(9700円)のことを考えたら
あまりに悔し過ぎて
寝れなかったんです!!!!!(結局、金)
世界遺産検定は1級受験料が高いんです。
しかも落ちても、1級は目標でしたから、また受けるだろうと思うところがありました。
そんなの、世界遺産検定側の思うつぼじゃないですか!?
なので
- もう絶対どんな手を使ってもあと1週間で受かるしかない
と心を切り替えました(遅い)
そこから試験合格の勉強法をかなり考えました。
直前ではありましたが、1週間で勉強方法を変えて、ぶっつけ本番でした。
正直、本番では
- ヤマが当たった
- 寝不足でしんどい
という気持ちでした。
詰め込み勉強ですし、実際に1級相応の知識が身についているかと問われるとかなり疑問です。
ただまとめると
- 間違った勉強法を(2級と同じように)続けても、効果が出にくい
- 良くも悪くも単に世界遺産を全部覚えれば良いという試験では決してない
- 正攻法(つまりテキスト一字一句丸暗記)で受験するのもありだが、範囲が広すぎ、非常に時間がかかる
- 合格のために時間をかける必要はあるが、勉強方針が超重要
と感じました。
試験合格が目的になってしまう勉強に始終してしまったので、これからもっと世界遺産については、学んで行きたいと思います。
で?
そこまで言っておいて、まさか具体的な勉強方法は書かないの?
という声が聞こえてきそうですが、分量が多くなると思いますので、別記事にまとめようと考えています。
具体的には
- 過去問の正しい使い方
- ノートの効率的な使い方
- 世界遺産検定1級の効果的な山の張り方
をまとめる予定です。
ということで次回予告のようになってしまいましたが、また別記事も参考にしてもらえれば幸いです。
ちなみにこの夏は、世界遺産検定1級で知ったドロミテ渓谷に足を運びました。
旅行の幅が広がるという意味ではやはり勉強の楽しい資格ですし、最後まで諦めず取得して良かったなというのが実感です。
これからも色々な世界遺産を訪れたいと思います。
それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
※世界遺産検定1級の公式テキストは2020年3月発売のものが最新になります。お間違えないようご注意下さい。
※追記
以下の記事に勉強方法をまとめました。
実際に訪れた世界遺産の旅行記はこちら
当ブログは旅ブログですので、実際に訪れた世界遺産の記録も多くあります。
気になる方はぜひ一読ください。
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